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「I NEED YOU.」
10年前の劇場版「THE END OF EVANGELION」で個人的に最も印象に残っているシーンは、ラストの首絞めシーンでもなく、ミサトとのキスシーンでもなく、なぜか伊吹マヤが補完されるシーンだった。
リツコと抱き合いながら満面の笑みを浮かべるマヤ。次の瞬間LCL化したマヤの手がノートパソコンの上で弾ける。パソコンの画面にはリツコが打ち込んだ「I NEED YOU.」の文字。まさにEVAの作品性を表すシーンだったと思う。
あの頃14歳の中学生だった自分も今では24歳の社会人だ。時代もずいぶん変わった。個人的には、「Air/まごころを、君に」のラストはとても好きで今回の新劇場版に対してかなり批判的な考えをもっていたし、もしまたエヴァを作るとしたら違ったアプローチを仕掛けないと意味が無い。(でも結局新劇場版見てきましたw)
確かに前作では謎を残したまま終わってしまった。が、その謎こそがエヴァの本質であり、最後まで解き明かす必要は全く無い。監督自ら「衒学的」といっているようにその謎に対しての答え、というか設定はクリエイター自ら考えていないことすら考えられる。
この空白の十年間で視聴者の知的好奇心を刺激する手法に関しては庵野は間違いなく天才的で、誰にも真似はできないことが証明された、ようなものだ。新劇場版も視聴者同士で議論されることを前提にして創られていて、実際エヴァを知り尽くした連中の思惑をいい意味で裏切ることができたのは本当に凄いと思う。(実際エヴァンゲリオンではなくヱヴァンゲリヲンと題名が若干変わっていたりなど何か意味ありげな、さりげない変更点が多い)
でも、そういうおもしろさ以上に今の自分が求めていることがある。クリエイター側は人類補完計画を全面的に否定してほしい、ということ。それって人間同士のコミュニケーションの全面否定じゃん。
エヴァの影響力を考えると今青少年の自殺とかひきこもりとか様々な問題が表面化している中で10年前と同じことやっちゃうのは結構危険なことなんじゃないかな。今作のシンジ君には是非人類補完計画を阻止してほしい。こんな時代だからこそ、ヱヴァにはストレートにシンジ君の成長というのを描いて欲しい。
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